歯周病と糖尿病(3)2つの疾患の指標
2つの病気を患者さんもしくは連携医が評価するのにその疾患の指標があるととても理解がしやすくなります。今回は、糖尿病と歯周病の指標についてお話ししたいと思います。
- 糖尿病と歯周病の指標について
<糖尿病の指標:HbA1c>
HbA1c(ヘモグロビンA1c、グリコヘモグロビン)という値があります。この値は、採血時から過去1・2ヶ月間の平均血糖値を反映し、糖尿病の診断に用いられています。ブドウ糖にはヘモグロビンと結合する性質があるため、血中のブドウ糖濃度が高いほどヘモグロビンにブドウ糖が多く結合します。HbA1cはこのブドウ糖の結合の程度を反映し、その割合を%で示します。
この値は、糖尿病患者さんなら血糖値と併せてよく知っている方も多く、当院の患者さんでも自分のHbA1cの変化を暗記していたり、細かく記録している方もいます。そういう意味でいろいろな全身疾患がある中で糖尿病は、容易に患者さんと歯科医師で病気の進行度合いを共有しやすいものになります。HbA1c値が良くなると「良かったですね、歯周病の改善にも効果がありますよ。」というような会話をすることができる病気です。
糖尿病の指標
・HbA1c 6.5%
・空腹時血糖 126mg/dL
・75gOGTT 200mg/dL
<歯周病の指標:BOPとPD4>
歯周病の診断は、歯によっても進行度が異なるので患者さんにはとても理解しずらいものになります。「この歯とこの歯は重度歯周炎で、これは中等度歯周炎、そのほかが軽度歯周炎になります。」というような表現になりがちです。
そのため、歯周病の評価する1つの方法として、検査時の出血を数値化したBOP値とポケット深さ4mmを基準としたPD4値の2つの指標を用いることができます。
BOP
BOP(Bleeding on Probing):歯周ポケット深さ測定時の出血のこと
10%以内が目標
⇒歯周ポケット深さを測る時の出血は、歯周ポケット内に炎症があることを示しています。歯周ポケット内に多くの細菌が存在するとその細菌のポケット内面への侵入を防ぐため毛細血管から免疫細胞が出てきます。免疫細胞をたくさん補給するため毛細血管は拡張したり、増殖したりします。出血があるということはポケット内に多くの細菌がいることの証明になります。
また、最近では炎症のある歯周ポケットの血管を介して全身に口腔内細菌が流れていることがわかっています。出血は歯周病だけでなく全身疾患への関与に関しても重要な指標になります。
PD4
PD4(Probing Depth 4の略):歯周ポケットの深さが4mm 以上のところ
3%以内が目標
⇒歯周ポケットのインフェクションコントロール(感染の管理)が比較的簡単なのはポケット3mmまでです。4mm以上になると患者さんのケアも私たちの治療も難しくなってきます。そのためなるべくPD4の数値を低くすることが重要です。
この2つの指標がどちらも目標以内であると歯周病は比較的軽度であると判
定できます。特に高齢で目標を達成している方は歯周病リスクが低いと判定され、歯周病治療や定期検診も多くのことをせずに済みます。逆に若い時にこの値が大きいと歯周病リスクはとても高いので歯の抜けていく危険性がとても高くなります。歯周病治療の提案も多岐に渡ります。
BOPとPD4の値にPg菌(ポルフィロモナス・ジンジバーリス)などの歯周病原因細菌の検査データを加えてリスク判定の精度を上げることでさらにリスク判定の精度が高くなります。
糖尿病の指標
・HbA1c 6.5%
・空腹時血糖 126mg/dL
・75gOGTT 200mg/dL
歯周病の指標
BOP 10%以内が目標
PD4 3%以内が目標