歯周病と糖尿病(1)関連性
糖尿病と歯周病という二つの疾患は双方向に影響を及ぼす病理メカニズムを持っており、歯周病が悪化すると糖尿病が悪化、また、糖尿病が悪化するとさらに歯周病が悪化するという負の連鎖があります。
- 糖尿病と歯周病の関連性について学ぶ
歯周病の悪化により歯茎の血管に歯周病の原因菌や彼らの排出した物質、サイトカインなどの炎症関連物質が流入することで、心臓の鼓動の度に私たちの全身の臓器にそれらが送られています。自分の遺伝子で弱いところは最も強く攻撃されると考えていいでしょう。このようなシステムにより歯周病は招かざる疾患を私たちに植え付ける因子の一つとなり得ます。
その中で歯周病と糖尿病は最も関連性の高い疾患と言われ、多くの論文も出ています。この二つの疾患は双方向に影響を及ぼす病理メカニズムを持っており、歯周病が悪化すると糖尿病が悪化、また、糖尿病が悪化するとさらに歯周病が悪化するという負の連鎖があります。
日本糖尿病学会と日本歯周病学会では、それぞれの治療ガイドラインで関連性についてのそれぞれ記述があります。
日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイド(2022-2023)より:歯科の記述3ヶ所
(1)7、糖尿病合併症とその対策
D、併存疾患(3、歯周病)
『血糖コントロールの不良は歯周病を重症化させる。
歯周病が重症であるほど血糖コントロールは不良となる。』
(抜粋)
(2)10、専門医に依頼すべきポイント
B、他科専門医に依頼する場合(8、歯科)
『歯周病と糖尿病には密接な関係があることがわかってきている。(中略)日頃から糖尿病に関して歯科医と連携を保っておくことが
重要である。』(抜粋)
3)10、専門医に依頼すべきポイント
C、地域連携
『血糖コントロールが悪いほど歯周病も悪化すると言われているため、医科歯科相互の受診勧奨を行うなどの連携が必要となる。』
(抜粋)
日本歯周病学会の歯周治療のガイドライン(2022)より:糖尿病の記述3ヶ所
(1)1、歯周病とは
7)全身的因子と歯周病
1、歯周病に影響を与える因子
(2)環境および後天的因子 C、糖尿病
『糖尿病に併発する歯周炎は、糖尿病が原因で惹起されるのではなく、糖尿病による免疫系機能障害、抹消血管循環障害、創傷治癒遅延などが歯周炎の病態を修飾するものである。』
(2)1、歯周病とは
7)全身的因子と歯周病
2、歯周病が影響を与える疾患:糖尿病
『歯周炎により生じる炎症のケミカルメディエーターであるTNF-αはインスリンの抵抗性を増大させ、糖尿病を悪化させる可能性が報告されている。』
(3)2、歯周治療の進め方
1)全身性疾患への配慮
2、糖尿病患者への配慮(略)
(4)9、歯周病のリスクファクターと治療上のリスク管理
2)有病者の歯周治療
3、糖尿病患者
『糖尿病に併発する歯周炎は、糖尿病が原因で惹起されるのではなく、糖尿病による免疫系機能障害、抹消血管循環障害などが歯周炎の病態を修飾するものである。』
それぞれの学会のガイドラインで、これだけ詳しく2つの疾患を記載している関連は他にはありません。それだけ双方の疾患の治療が双方の治癒に効果があることになりますので、糖尿病患者さんは歯周病に、歯周病患者さんは糖尿病に配慮することが必要になります。
糖尿病と歯周病、双方の疾患の治療が双方の治癒に効果があることになりますので、糖尿病患者さんは歯周病に、歯周病患者さんは糖尿病に配慮することが必要になります。